牛の一歩も、一歩は一歩

日々の関心、備忘録などをまとめる.

統計的因果探索 chapter1~3

1章 統計的因果推論

  • 統計的因果推論とは、相関があるだけでなく、実際に変化した時に、目的変数がどうなるかを推測する

    • この書籍では、統計的因果推論の一種である統計的因果探索を解説
  • 相関はあくまで、データから読み取れる結果でしかなく、因果関係は考慮していない

i.e.
- チョコの消費量が多いと、ノーベル賞受賞者が多い
=>相関

- チョコの消費量を増やしたときにノーベル賞受賞者数がどうなるか
=>因果関係
  • 因果関係は、因果グラフで表す
    • ノード
      • 観測変数&未観測変数
    • 有向エッジ
      • 因果関係の有無
        • エッジに因果関係の強さといったラベルは存在しない
        • エッジの向きで、原因=>結果
  • 矢印の間に挟まれるノードを共通原因と呼ぶ
    • 共通原因のうち、未観測なものを未観測共通変数と呼ぶ
  • 因果関係はないが、相関がある場合、擬似相関と呼ぶ

  • 未観測、観測変数の値より、ある変数の値が生成される工程を生成過程と呼ぶ

    • x, yからzが生成されている際、z=f(x, y, e)で表され、eは誤差関数と呼ばれ、バイアスのような役割をする
      • 未観測変数とバイアスは、なんらかの確率分布に従うと考え、確率変数で表す
  • 相関係数では、因果関係の大きさを測ることはできない

2章 統計的因果推論の基礎

統計的因果推論は因果グラフが既知の場合の手法

  • 実質科学
    • 因果関係を明らかにする目的の科学
  • 方法論

反事実モデル

  • 個体レベルの因果
    • 個体に対して二種類以上の試行を行い、因果関係があるかを実験
    • この個体が属する集合が存在した場合、その集合全体に、個体の因果関係が同様に適用可能かはわからない
  • 集団レベルの因果
    • 集団に対して二種類以上の試行を行い、集団の何割がどのような結果になるか観測

構造方程式モデルによるデータ生成過程の記述

  • 構造方程式
    • データの生成過程を定式化
    • yというデータが生成される過程は以下
      • xは観測変数
        • xもyと同様に未観測の誤差変数から生成されていると考えられる
      • eは未観測変数&誤差変数
      • x, yの誤差変数らは独立とは限らない
y=f(x, e)
  • yは内生変数
    • 構造方程式によって記述される変数
    • いくつかの変数で説明される変数
  • 誤差変数eは外生変数
    • 構造方程式において、生成手順が語られない変数

構造的因果モデル

反事実モデルと構造方程式を組み合わせたモデル

  • 集団レベルの因果構造方程式モデルによって記述
    • 介入により、ある変数に対して、任意の定数を代入
      • 集団に対する試行を、モデルを作成する人間が指定
      • i.e.) 薬を飲む、飲まないetc.
    • x=cという介入do(x=c)をした時、yの確率分布はp(y|do(x=c))で表される
  • 介入後の分布が介入前と異なる場合, 介入した変数xとyの間に因果関係があると言える
  • 個体レベルも同様に介入によってどう値が変化するかで分析可能
  • 因果効果の大きさの定量
    • 平均因果効果で因果効果の大きさを定量
      • 二種類の介入を行った分布の期待値の差
  • 出来事の説明
    • 観測された結果より, 過去に何があったかを説明
    • 潜在反応モデルにより深い考察が可能

ランダム化実験

  • 変数の値を, 個人ごとにランダムな値に
    • 未観測変数を独立に
      • 時系列的に捉えることで, 未観測共通原因をなくす

3章 統計的因果探索の基礎

統計的因果探索は因果グラフが未知の場合の手法

現実問題として取り扱う場合、統計的因果探索して因果グラフの推測を行ったのちに、統計的因果推論により、その因果関係の大きさなどを推測することも多々ある

本書では、ランダム化実験を行わず、いくつかの制約を設けることで因果グラフを推測する手法を取り扱う

統計的因果探索

  • 統計的因果探索は観測されたデータx, yより, 因果グラフを推測する問題
    • xとyに因果関係があるかどうか
    • 外生変数がどのような分布に従うか
      • ノンパラメトリック
        • 分布、関数になんの仮定も置かない
        • 因果関係が一方向であるという仮定を置く
        • データから読み取れることのみから因果グラフを推測するためシンプル
        • ただし、いくつかの因果グラフの候補をモデリングできるが、どれが優れているか評価できない
      • パラメトリック
        • 分布、関数に仮定を置く
        • モデルの単純化、数値解析の簡易化
      • セミパラメトリック
        • 関数に仮定を置き、分布には仮定を置かない
        • 関数系に線形性、分布に非ガウス分布を採用するモデルをLiNGAM (Linear Non Gaussian Model)と呼ぶ
  • 識別可能性
    • 因果グラフが識別可能であるかどうか(=観測データから因果グラフが一意に定まるかどうか
    • 因果グラフの構造が異なれば、観測変数の分布が必ず異なる場合、識別可能
  • 仮定によって、因果グラフの候補群の数を減らすことが可能
    • 誤差変数が独立である仮定
    • 非巡回グラフである仮定
      • 非巡回を仮定することで、先祖、親、子孫などの概念を導入可能
  • 平均因果効果
    • {x1, ..., xn}の因果グラフがある場合、x1とxkの因果効果は
      • x1からxkとの有向エッジがある場合、直接効果をcalc
      • x1からxkまで、どこかノード (中間変数)を経由したエッジが存在する場合、message passingの要領で、間接効果をcalc
      • 直接、間接効果の和が、平均総合効果

ノンパラメトリック

  • 二種類の仮定を置く
    • 因果的マルコフ条件を導入
      • 変数それぞれを親に当たる変数で条件付けするとその非子孫の変数と独立になる(親、先祖を含む
    • 忠実性を導入
      • 因果グラフを見ると従属なはずなのに、実際には独立ということがないように
      • 独立性は、因果グラフの構造からのみ表されるという仮定
  • (おそらく二変数に着目して)、同じ条件付き独立性を有する因果グラフを持つモデルの集合をマルコフ同値類と呼ぶ
  • ノンパラメトリックな手法では、マルコフ同値類への絞り込み等を行うことは可能だが、一意に因果グラフを特定できない
    • 制約に基づくアプローチ
      • 条件付き独立性を試薬として、それを満たすような因果グラフを探索
    • スコアに基づくアプローチ
      • マルコフ同値類ごとにスコアを出し、良いものを選択

パラメトリック

  • ノンパラメトリックと比較して、識別可能性は向上しない
  • ノンパラメトリックと同様に、マルコフ同値類内の全ての期待値を計算し、最小or最大の値によって評価
    • 少なくとも、期待値が正なので因果関係がありそう等

セミパラメトリック

  • 誤差変数の分布に、非正規分布を仮定することで、識別可能性が向上するらしい